入道雲


 












                            

光のかけら


 

















                           

夢へ


 

遠くの 春霞の煙る小径を 

杖をついた老人が とぼとぼと歩いている

その背中に 紺碧の大空から 

明るい陽光が キラキラと降りそそぎ

赤く噎せ返る 春の匂い中に

紫のパンジーが 鮮やかな花弁をひろげている

 

老人がしばらく歩いていると 

その行く手には たくさんの道が分かれ 

どこに続いているか 分からない

それでも もはや ときの後戻りする道はないから 

一瞬の光を すばやく掴みとるように 

進むべき道を 決めなければならない

 

老人は 心の囁きに耳を澄ました

そうだ 夢へと続く道を行けばよいのだ

唇のかさかさに渇いた 老残の苦悩を乗り越えるために

夢の匂いの立ちこめる道を 見つけ出して

とおい憧れに だんだんと近づいてゆこう

 

もしも その歩きはじめた道が

夢へとつながっているか 不安に思えても

それは 道を間違えているのではなく 心が迷っているのだ

心のときめく道を しっかりと歩いてゆけば 

かならず ひかり輝く永遠の夢に 出逢うことができるだろう

 

 

                        奈津光平の詩「夢へ」より