金色の銀杏並木に 冷たい北風が吹き抜け
遠い北国から 雁が渡ってくる
もうもうと 雲の峰が湧き上がっていた
あの灼熱の夏は もうとっくに 絶滅してしまった
ときの流れは とどまることを知らず
からからと 人間の頭脳を 風化させてゆく
今までできていたことが できなくなってしまう
自然の摂理とはいえ なんと残酷なことなのだろう
暗い地の底にさまよう 遠いときの亡霊
とぎれとぎれにしわぶく 死者の嗄れた声
虚ろなときの影のなかに
生まれてきた哀しみが ふらふらと よぎってゆく
奈津光平の詩「風化」より