夢の時間


 

夕陽がかたむき

うす青い空に ほの白い三日月が浮かんでいる

夕暮れになると 黄色く輝きはじめるのだろう

 

遠くに公園の チャイムが鳴り始めた

テニス場の利用はあと30分 後片付けをしてください

毎日繰り返される 機械音のアナウンス

いまごろ いろんなところの日常は いろんなところで

終わりの時刻を 告げているのだろう 

 

そうして 終わってしまったときは 

あんなにも 甘い香りを沸き立たせていた

金木犀の花を さみしくしたたり散らせながら

久遠の果てに 流れていく

 

ふと誰かが 後ろをつけてくるような気配に

振り向いても あたりには 夕闇がただようだけ

それでも目を凝らして ようく見ると

草むらのなかに かすかな影が動いている

 

それは

弾力をなくした 使い古しのタイヤのように 

孤影のなかで ひっそりと息を潜めている

わたしの明日の さみしい夢の時間だった

 

 

            奈津光平の詩「夢の時間」より