真夏の砂浜


 














                           

棲家


 

ときおり吹いてくる むらさきの風に

石畳の清楚なコスモスが ひそやかに揺れまどい

郵便局の哀愁がただよう 鄙びた街角に 

わたしは いつも一人ぽっち

 

雲の切れ間から落ちてくる 一条の光線が

孤独の帽子を きらきら照らしても

わたしの自我は 暗い深海のように 抑圧されている


だれでも 生まれては消えてゆく 無常のときのなかで

有限のときを 夢のように消費し やがては尽き果てる

 

そのときまで

厚顔無恥な人間の言葉には いっさい関わらず

一人きりの 自由の棲家のなかで

荒縄のつり橋のように ひっそりと暮らしてゆきたい

 

 

 

            奈津光平の詩「棲家」より