太陽の光や豊かなみどりや爽やかな風など魂を揺さぶる風景は、こころの奥底に沁みわたり、それが言葉になって詩が生まれます。詩はこころの風景です。言葉で紡がれたこころの風景を画像と一緒に楽しんでいただけたなら幸甚に存じます。
冬の夜道の濃い闇の中に さみしい街灯の明りが 山姥(やまんば)の亡霊のように ぼわっと揺れているときおり 耳朶を切り裂くような 寒風が吹きすさぶ 貧しい外套の襟首に 酷寒の冷気がしみ込み生きることの 覚束(おぼつか)ない不安この凍空のなかに わたしという存在は 消滅してしまうかもしれない 遥か遠くの彼方に 漁火(いさりび)のように青白い生命の炎が かすかに揺れているきっと もうあそこまで 魂の叫び声は 届かないのだろう そのとき 螺旋状に薄れてゆく意識のなかに寒い故郷の廃屋の 遠い昔の家族の笑い声が灼熱の陽光に照らされた 幻聴のように まぶしく爆(は)ぜ散った 奈津光平の詩「存在」より
冬の夜道の濃い闇の中に さみしい街灯の明りが
山姥(やまんば)の亡霊のように ぼわっと揺れている
ときおり 耳朶を切り裂くような 寒風が吹きすさぶ
貧しい外套の襟首に 酷寒の冷気がしみ込み
生きることの 覚束(おぼつか)ない不安
この凍空のなかに わたしという存在は 消滅してしまうかもしれない
遥か遠くの彼方に 漁火(いさりび)のように
青白い生命の炎が かすかに揺れている
きっと もうあそこまで 魂の叫び声は 届かないのだろう
そのとき 螺旋状に薄れてゆく意識のなかに
寒い故郷の廃屋の 遠い昔の家族の笑い声が
灼熱の陽光に照らされた 幻聴のように まぶしく爆(は)ぜ散った
奈津光平の詩「存在」より