やわらかいとき



 

名も知らない うすむらさきの花が

路端にひっそりと咲いている

しらじらと 青竹を割ったような 

静寂があたりをおおっている

 

何処からともなく 

やわらかいときが ゆっくりと静かに

からまりながら ほぐれながら 

こころにすべりおりてくる 

 

からころ からころ 

だれかがこころを叩いている 

森のなかの 木霊(こだま)の妖精かもしれない 

若い木々の香りを 思い切り吸い込むと 

生命の結晶が こころのすみずみに 

沁みわたった

 

蝶々でも蜻蛉でも蛙でも

蛇でも鴉でも鼠でも泥鰌でも

みんなみんな きらきらひかって

生きている

 

 

 

奈津光平の詩「やわらかいとき」より















                          

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