白いときのしらべ


 


蒼白い木漏れ日が しっとりと帽子にやどり

濃厚な樹葉の隙間から さわやかな風が吹きわたる

ときおり とぎすんだ杜鵑(ほととぎす)の鳴き声が 

幽玄の中に沁みこんでゆく

 

どこからともなく

しんとした太古の気配が忍び寄る

うら悲しい琵琶の音が かすかに聞こえてくる

真っ白なときの調べが あえかに奏でられ 

やがて やさしいときは 静かにうつりすぎてゆく 

                    

太古の石仏の下に眠る 古代の人よ

この奥深い山の中で暮らしていた 古代の人よ 

今ここにたたずむわたしは 

あなたの生きたと同じ

太古の空気を吸っているのでしょうか

 

あわい光を滴らせて ゆっくりと夕陽が沈んでゆき

薄暗くなりかけた 白いときのなかにたたずんでいると

太古の霊魂が こころの葉陰のなかに 

そおっと やさしく寄り添ってきた 

 


奈津光平の詩「白いときのしらべ」より










 

 

                          

 

 

 

 


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