痩せ細った 銀杏の枝先に
うらぶれた浮雲が しろくただよい
貧しい渡り鳥が よろよろと消えてゆく
うす黒く 湿っている田圃に
萎びた切株が 音もなくこごえ
あたりには ほの白い冬の匂いが
かすかにふるえている
とうとう
今年の秋は死んでしまった
これからは くる日もくる日も
こころも凍てつく
冷たい風がふきわたるのだろう
そうして
死霊のむせぶ
寂しい風音がせまるとき
涙の翳に忘れていた
生まれてきた悲しみが
もだえながら よみがえり
濡れた雑巾のように
年老いた背中に さりげなく
憑依(ひょうい)するにちがいない
奈津光平の詩「憑依」より
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