灼熱の陽光が降りそそぐ炎天下に
赤い松の樹皮にしがみついて かしましく蝉が啼いている
今年も いつのまにか 蝉のころとなってしまった
ああ 赤く命を震わせて啼く蝉の声が わたしを遠い夏の日に連れ戻す
息が詰まるほど懐かしい あの青い砂浜の民宿
子供たちは波打ち際で 砂のお城を作り 潮の香りの松風が海辺を吹き渡る
紫紺の水平線に 夕陽が茜色に沈み 食卓には溢れるほどの海の幸
入道雲が幾重にも聳(そび)えたつ公園で 転がるように滑った急傾斜のすべり台
早瀬の流れが小さな滝つぼに落下し 白く立ちのぼる冷気
パンツまで濡れて 水遊びをしている子供たち
空と屋根の遠くより しいと啼く蝉の声が 遠い昔に駈け巡る
蝉の子を捕らえようとして 熱い砂地を踏んでいった子供たちよ
今は何処にいるのだろうか
奈津光平の詩「蝉のころ」より

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