虚空の道


 

紺碧の大空から 

少しずつ 光と影の境目が 蠢(うごめ)いて 

やがて 太陽が山頂に傾いてゆくころ

遠くの旅人の孤影は 冷たい情熱をくゆらせて 

うつむきながら 白い野道を歩いてゆく

 

旅人の 無垢の瞳をめぐらせて 遥か遠くの 

永遠の未来を探してみても 夕靄のように 

たよりなく すべての実在が曖昧になる 

 

貧しい財布の中の わずかな時間(とき)は 

涙ににじんで かすんでゆき

向日葵の咲いている 海辺の町までの 

残された時間が計算できない

 

それでも 朝日が昇れば 幻影のように 

みどりの光が 燦々と降りそそぎ

そうして

虚空の道を さまよい疲れた

永劫の旅人の影は 溜息ひとつ残して 

まぼろしの中に消えてゆく

 

 

       奈津光平の詩「虚空の道」より

 

 










                          


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