棲家


 

ときおり吹いてくる むらさきの風に

石畳の清楚なコスモスが ひそやかに揺れまどい

郵便局の哀愁がただよう 鄙びた街角に 

わたしは いつも一人ぽっち

 

雲の切れ間から落ちてくる 一条の光線が

孤独の帽子を きらきら照らしても

わたしの自我は 暗い深海のように 抑圧されている


だれでも 生まれては消えてゆく 無常のときのなかで

有限のときを 夢のように消費し やがては尽き果てる

 

そのときまで

厚顔無恥な人間の言葉には いっさい関わらず

一人きりの 自由の棲家のなかで

荒縄のつり橋のように ひっそりと暮らしてゆきたい

 

 

 

            奈津光平の詩「棲家」より

 











                           

0 件のコメント:

コメントを投稿