魂魄の命ずるままに


 

空は 底抜けに青く

ぶ厚い積雲の端が ぎらぎらとひかり 

稠密な空気を透過(とうか)して 黄金に輝く太陽光線

 

あたり一面に まぶしい光はあふれ散乱し

白百合の匂いのように 空気は甘くうるおい

柔らかい風に揺れる 紡錘形のメタセコイヤの若葉

 

こんな つややかな心地よい日は いつもより 

わたしは いっそう透明な孤独になって 

誰とも全く関わらない 贅沢なときを しんから堪能する

 

これから先 何があっても怖くない

夕闇の赤い欄干に凭(もた)れて 悩み慄(おのの)いていた

うすっぺらな飢餓の思念なんか もうどうでもよい

 

わたしは 

紫陽花に降るさみしい雨のような この老愁の道を

魂魄の命ずるままに どこまでも どこまでも歩いてゆく

 

 

    奈津光平の詩「魂魄の命ずるままに」より

 

 

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