雑踏


 

強烈に照りつける 真夏の太陽

大都会の終着駅から 吐き出された群衆

人混みに噎せ返る 喧騒のあふれた雑踏

 

熾烈な陽光を がんがん浴びながら 

わたしは むらさきの雑踏を歩いてゆく

だれも わたしに 気をとめない

ぼんやりとした 無言のときは

とても 気持ちがよい

 

雑踏の中にいると

社会と繋がる 孤立しない孤独を感じる

そこでの 人間関係は 

通行人と すれ違うこと 

同じ電車の座席の 横に座ること

そんな 社会と接してはいるけれど

わたしとは 全く無関係の人間の暮らしが存在している

 

わたしは

誰とも喋りたくないし 他人に触れられたくもない

こんな 悶々とした憂鬱な日々のなかの 

わたしの唯一の居場所は 人間は存在しているけれど 

それらから何の圧迫も受けない 雑踏の群れのなかである

 

         奈津光平の詩「雑踏」より

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