バスが来るまでの二十八分間
のどかな のんびりとした時間
濃い光に 木立の影がくっきりと鮮やか
入道雲がたくましい
涼しい太い風 竹藪がゆれている
雀が一羽 木の葉に飛ぶ
かしましい蝉の鳴き声
向日葵が大きくて黄色い
夏に包まれていい気持ち
やさしさが充ちてくる
こころのなかに ゆったりと
遠い昔の懐かしさが蘇る
あおい蚊帳のなかで
蒲団をごろごろ転がる 華奢な身体
いぶされた蚊取り線香 お寺の匂い
天井にゆれる 青白い人魂
恐ろしくて目を瞑ると
いつの間にか夢のなか
バスがやって来る
何も知らない無邪気なときがゆれる
乗客の中に紛れこむ
バスを待つ二十八分は どこかへ消えてしまった
風は吹きわたり 雲は流れてゆく
きょうも いのちが 喜んでいる
奈津光平の詩「バス乗り場」より
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