うしろ影


 

どこまでも澄み切った 群青の空  

ひかりが遠くまで 燦爛(さんらん)ときらめき

輪郭の濃い日差しが 石畳にきらきら反射している 

 

橡(とち)の木の 大きな葉に日光が弾け跳び 

やまももの木が 濃い緑に膨らんでいる

冬の間は枯れ木の ノウゼンカツラが 青い蔓(つる)をたわわに伸ばし 

朱鷺色(ときいろ)のラッパの花を咲かせている

 

悠久の大地に 爽やかな夏の風が吹きわたり

アキニレの樹影が ゆらゆらと風になびき 

夢のように 光と影が揺れながら 遠くのほうへながれてゆく

 

きらめく陽光のなかに 

お母さんと手を繋いで歩いてゆく 幼い男の子の後ろに

短いときの影が さみしくゆれている

 

 

奈津光平の詩「うしろ影」より

 

 

 

 

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