これからも


 

ツバメが電線をよぎって すばやく飛んでいく 

飛び去ったあとに おおきな夏が広がっている

紺碧にかがやく大空から さわやかな風が吹きわたり 

すだれ越しに 涼しい風鈴の音がすきとおる 

 

麦藁帽子のにおいがする縁側で 

あかい小さな さくらんぼうを食べる

口のなかに可憐な 生命の味が広がる

やがて さくらんぼうのときは終わる 

 

ふと 夢のように思い出す

あのころは なにをしても楽しかった 

あしたも川で泳いで 魚を銛(もり)で突こう

日焼けして くろんぼ なんていわれたこともあった

カキ氷 好きなのはミルク金時 

急いで食べると目の奥がキューと痛む

どうして戻ってこない あの夏の日 

 

さまよいうつろいゆく

おぼろげな 永劫に消え去ったとき

そのときのながれが 

年齢に換算されても わたしは驚かない

わたしのときのなかを わたしは生きているのだから 

わたしは わたしのままで すこしもかわっていない 

 

これからも わたしのときのなかで

年齢を忘れ 死ぬことも忘れ 

今日を 胸いっぱいに生きてゆく

   

   奈津光平の詩「これからも」より

 

 

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