石ころ


 

碧天高く 泳いでいる うろこ雲

やさしい陽光が うす桃色のコスモスに

さわさわと 降りそそいでいる

 

秋風が ひんやりと 稲穂を吹きぬけ 

あんなにも かしましかった蝉は 

もうどこにもいない

 

ああ 無常のときのなかに

楽しい夏の夢は 無残にも .死滅してしまった

 

残されているのは

蟋蟀が切なく 鳴いている 露草の蔭淵に

夢の亡骸を 手厚く葬り

巡りくる至福のときに もう一度出会えるまで

石ころだらけの道を とぼとぼと歩いてゆくより 仕方がない

 

       奈津光平の詩「石ころ」より

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