過失


 

ビルの片隅の あたたかい陽だまり

黄金色にまぶしい 銀杏並木

煉瓦の歩道を 痩せた人影が通り過ぎ

風景の色彩は だんだんと灰色に変わってゆく

 

短い冬時刻のなかに

うすら寒い街路燈の 青白い灯がともり

凍える夕陽が うす雲を紅色に染めながら 

高層ビルディングの林のなかに沈んでゆく

 

白い夕闇が あたりに立ちこめ

酒場の歓声の騒がしい 夜が始まる

こんなふうに 生きていることは楽しい

束の間の楽しみを探し求めているのが 人生なのかもしれない

 

わたしの人生は過失だったと ある詩人は言った

いつとは定まらない 終焉の時になれば

わたしの生きてきた意味が 分かるかもしれない

けれども 

その意味が分かったとしても そんなことはどうでもいいことだ

そのときはもう わたしは消滅しているのだから

 

   奈津光平の詩「過失」より

 

 

 

 

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