巣立ち


 


細長い陽光が 枯れた切株に 降りそそぎ 

痩せた人影が 寒そうに 田圃の中を過ぎてゆく

遠くの山並みは 黄褐色に染まり 白い冬景色が うっすらと揺れている

 

こんな 透きとおる 冬の日に ずっと先のほうから聞こえてくる 

楽しい未来のときの声に誘われ 青い生命が 遠いところへ巣立ってゆく

まるで すくすくと成長した 柘榴の実が 赤く破裂するかのように

 

これから先には 辛い厳しい風が吹き荒び 飢えや絶望に襲われるかもしれない

それでも 遠い原始のときから えんえんと続いてきた 巣立ちのとき

それは 生きていることのあかしなのだ

 

何処に行っても 太陽は燦々と降りそそぐ

青い魂よ その生命の恵みを 全身いっぱいに吸収して 逞しく生きてゆけ

そうして 

何があっても 挫(くじ)けずに あり余るほど 楽しい夢を手に入れるのだ

 

 

奈津光平の詩「巣立ち」より

 

 






 

                          

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