日向ぼっこ


 


ゆるやかな傾斜地の 山間に沿って 

狭い棚田が ひっそりと連なっている

 

その山裾の 萱葺き屋根の農家の

黒光りする縁側に さんさんと差し込む 冬の陽光 

 

白い障子の前に広がる 日溜りのなかの 日向ぼっこ

寒くてかじかんだ指先が ふっくりとふくれ

縮(ちぢ)こまった背中が ゆるゆると伸びてくる

 

ときおり 雲に太陽が隠れ 

あたりいちめん ひんやりとした冬にまいもどる  

 

しばらくすると ながれる雲の端が 太陽に炙(あぶ)られ 

きらきらと もう一度 やさしいぬくもりが縁側にひろがり 

うれしい丸坊主の影が 障子に膨らんでくる 

 

やがて 冬の短い山間の太陽は 

ほそい日光を落としながら 夕焼けに傾いてゆき

 

日向ぼっこの ぬくもりは さむい夕暮れの

かなしい懸巣(かけす)の鳴き声といっしょに 

山の彼方へ消えてしまった

 

 

          奈津光平の詩「日向ぼっこ」より





















                           

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