長夜


 


黄色く熟れはじめた空気の中に

しずかにただよう 甘い金木犀の匂い

 

白い野道には

うす桃色の芙蓉の花が 淡くひかり

秋風にゆれる 可憐なコスモス

 

早い日暮れのなかに 

夕餉の気配が沁みわたり

 

短い落陽が 

民家の瓦のむこうに沈んでゆく

 

寄る辺のない旅人の 

長い夜はとてもさみしい

 

背後に生霊の憑依する 古い夢

 

そっと 振り向いても

傾いた窓の影が しらしら揺れているだけ

 

  

奈津光平の詩「長夜」より







 

                           

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