はるか遠くのかなたから
おぼろげな 母の声が聞こえる
お母さん 何がいいたかったの
なにもいわなくてもいいよ お母さん
言葉にならなくても よおうく 分かるからね
甘くやさしいお母さんの匂いが
私を包みこむ
あのきれいなしゃぼん玉の匂いだね
胸いっぱい 息を吸い込み
ほっぺたをふくらませ おもいきり
口をすぼめたら 七色のしゃぼん玉が
夢のように キラキラと飛び散ったね
ざくろの実は ほの甘酸っぱかったね
白くきらめく芳醇な果汁に
お母さんの笑顔が こぼれおちて
至福色に染まったね
お母さん 私にも可愛い子供ができたよ
お母さんの やさしい しあわせの涙から
生まれてきた 子供たちだよ
お母さん お弁当をつくって もう一度
こうこうと 海辺をてらし
こがね色にたそがれる 夕陽をみながら
浜弁当をしょうね
奈津光平の詩「しゃぼん玉の中のおとぎ話」より

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