小川の流れる畦道に 鮮血に染まる曼珠沙華が
あたり一面に群生している
真紅の花は 犇めき合いながら
息が詰まるほど散乱している
その身は恥じらいながら
真っ赤に生血の姿をさらけ出している
曼珠沙華は 悲しい彼岸花
青細い茎に手に触れると
繊毛が死人の叫びのように震えている
狂おしいほどに乱れ咲く 曼珠沙華は
誰を鎮魂しているのだろうか
許してくださいと 震える手を差し出すのなら
泣き狂う魂をどうして鎮めることができようか
青白い陽光に照らされながら
生温かい風が流れ過ぎるように
悔恨と怨恨の時は時間の流れの中に消失し
石に刻まれた記念碑だけが 過ぎ去ったときを刻んでいる
深まり行く秋空に 鮮やかに咲き狂う
曼珠沙華は その生を終えても
次の秋風が囁くときには 当たり前のように
生血を滴らせて 咲き乱れるのだろう
そのとき わたしの心を衝く
曼珠沙華を見ている わたしがそこにいるだろうか
奈津光平の詩「曼珠沙華」より

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