黄金色の稲穂が 秋晴れの陽射しに照りかえり
まばゆくきらめいている
あの青く小さかった苗代が
命の太陽を呼吸して 今ここに耀いている
それを祝うかのように 金色の穂波が
透明な秋風に 揺られ歌っている
そうして 時を忘れたかのように
のどかな田園は 青い夜のなかに
静かに落ちてゆき
やがて 暗闇のなかで 青い樹葉が風に震え
痩せた岩がひかりはじめる
この死人のようなしじまにつつまれて
わたしは静かに孤独の酒を飲む
そうして 金色の穂波の眠る夜が
そよそよと更けてゆき
酔いの終わりの 虚しい残り香のなかで
わたしは 語るべき言葉すらも亡くしてしまった
奈津光平の詩「金色の穂波」より

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